トレーラー・シナリオハンドアウト

■トレーラー
 葛藤。それは、誰もが日常的に体験している、ありふれた心的活動。
 大抵は、妥協案を自らの内で見出して、無難に収めようとする。

 けれど、もしそれが、自分の存在理由にも値する程の選択だとしたら?
 もし妥協するのなら、君が護ってきたモノはどうなる?
 もし押し通すのなら、当たり前の摂理が、君を咎める。

 君は、そんな結果を受け入れられるほど、諦めの良い人間ではない筈。
 ならば、君を縛る空<ルール>なんて、殺してしまえばいい。

 プロバビリティ・スカイ RPG 『摂理を嘲る、第三の選択』

――其の意志は、世界を超える。

■シナリオハンドアウト
 各プレイヤーは、以下の何れかのシナリオハンドアウトを一つずつ、別々に選択し、その内容に基づいてキャラクターを作成する。
 なお、「関係」は、関係性を持っているキャラクター(記録シートの関係欄に記入するキャラクター)を示し、「関係性」は、そのキャラクターとの関係性を示す。
 また、推奨クラスは、そのハンドアウトで示される内容に適合するような性質を持つクラスを示しているが、明記されていない限り、必ずしも、そのクラスを含んでいる必要は無い。

 想定プレイヤー人数は3~5人であり、PC①~PC③は必要となる。プレイヤーが4人である場合、取り除くのはPC④でもPC⑤でも構わない。

 各PCには、主に以下のような設定や導入が与えられる。なお、特に記述が無い限り、基本的には、シナリオ開始段階からPCは特異能力者である。
PC①:シナリオ開始段階では何ら特別性を有さない、普通の高校生であり、水明行乃の幼馴染である。
PC②:何らかの特別性を有する、PC①の同級生。御影正輝の友人。
PC③:魔術学会との繋がりがある。
PC④:斑鳩機関との繋がりがある。
PC⑤:東岸定理との繋がりがある。
 
▼PC①
推奨クラス:守護者 関係:水明行乃(みずあき・ゆきの) 関係性:幼馴染・友人
 あなたは、櫻岡市に住む、一般的な高校生である。幼馴染であり、同級生でもある、水明行乃という少女の事を大切に思っている。
 今日は進路希望調査票が配られた。一緒に下校しながらも、未来の暗さに頭を悩ませている事を告げる行乃。
 そんなあなた達の前に立ち塞がる、不審な人間。その存在に、あなたは訳も分からないまま、殺害される。
 しかし、薄れていく意識の中ですら、あなたは、自分が理不尽に死ぬことを受け入れられなかった。そして、あなたの思考に、少女の声が語りかける――。

▼PC②
推奨クラス:識術師 関係:御影正輝(みかげ・まさき) 関係性:友人
 あなたは、PC①の同級生である。特別性を有しているあなたは、それらを「社会の表側」の者には知られないように振る舞いつつも、日常を過ごしている。
 二週間ほど前、あなたの友人である御影正輝は、普段の明るい態度とは打って変わって、妙に暗い顔をして、あなたに愚痴をこぼしていた。
 何でも、以前から好いていた「水明行乃」という同級生に、その事を告白したものの、拒否されたのだとか。
 それから暫くは、いつものような雰囲気を取り戻した彼であったが、ここ数日、彼との連絡が全く取れず、学校にも来ていない。一体、どうしたのだろうか。

▼PC③
推奨クラス:境界術師 関係:"カレンデュラ" 関係性:敵対者
 あなたは、魔術師の統制機関としての役割を持つ、魔術学会に所属しているか、或いはその協力者である。
 学会からの使者によると、数日前から、魔術学会と敵対する組織、《神殿》に登録された魔術師であるらしい、"カレンデュラ"と呼ばれる魔術師が、櫻岡市に侵入したという。
 その目的と動向を調査するため、既に魔術師を遣わせたらしいが、連絡が取れなくなっていることから、消された可能性が高い。
 そこで、有力な魔術師であるあなたに、白羽の矢が立ったのだ。

▼PC④
推奨クラス:斑鳩 関係:PC③ 関係:協力者
 あなたは、日本の秩序を守護することを使命としている、斑鳩機関に所属しているか、或いはその協力者である。
 櫻岡市における、斑鳩機関の組織員を統括する役割を持った神領烈花に召集され、その屋敷を訪れたあなたは、彼女から任務を伝えられる。
 それは、魔術学会からの協力要請でもあり、"カレンデュラ"という魔術師について調査しているPC③に協力するという旨のものだった。
 この街の秩序、或いはこの国の秩序に悪影響を及ぼす危険性が存在している限り、斑鳩機関としても、干渉しない訳にはいかないのだろう。

▼PC⑤
推奨クラス:理装使い 関係:PC① 関係:庇護
 あなたは、東岸定理の協力者である。
 数年前か、あるいは数ヶ月前、あなたが何らかの渇望をもって特異能力に覚醒した時、彼女はあなたにその力の何たるかを説明し、特異能力者としての導きを与えた上で、自身の協力者になる事を要求し、あなたはそれに応じた。
 今回、定理があなたに頼みたいのは、PC①を、特異能力者として手助けすることだ。
 PC①は、つい先ほど、特異能力に覚醒したばかりだという。

■特記事項
・キャラクターは、初期作成のものを用いる。サンプルキャラクターを用いる場合は、PC番号に従って、以下のものを用いるとよい。
PC①:法則を選択する者
PC②:魔術への接触者
PC③:境界の担い手
PC④:斑鳩の鬼神
PC⑤:天砕きの逸脱者

・視点分離の使用想定回数は1(+2)回である。即ち、ある適切なパート一つで、何れかのPCが視点分離を行わない場合、何らかの比較的重大な不利益が発生する。また、ある適切なパート二つで、何れかのPCが視点分離を行った場合、何らかの利益が発生する。

■用語概要
●水明行乃(みずあき・ゆきの)
 PC①の同級生であり、幼馴染。茶髪の女の子。
 一見明るいものの、PC①を除き、他人に対して壁を作りがちであり、あまり仲良くなれない。
 昔から家庭の内外で軽視されてきた虐められっ子であり、以前は目に見えて暗かったが、高校生になってからは、露骨に彼女を害する同級生が居なくなったため、態度を取り繕うことができる様になったらしい。
 大抵のことに関して消極的。

●御影正輝(みかげ・まさき)
 PC②の同級生にして友人。黒髪の少年。
 真面目ながらも明るく、友人が多い。正義漢でもあり、"悪事を働いている者"を見過ごすことが出来ない。
 過去に、自殺しようとしている者を救ったことがある。
 恋愛には疎いタイプで、行乃は、初めて惚れた相手らしく、色々と勝手が分からずに居る。

●東岸定理(NPCの項に記載)
 櫻岡市郊外に住む、不思議な女の子。市立櫻岡高等学校2年生。
 世界の何たるか、特異の何たるかを知っていたり、未来の一部を知っているかのような態度を取ったりと、とにかく謎が多いが、自身の真意を誰にも話そうとしない。
 何人も協力者を有しており、彼らに特異関連の事件の解決を頼むことが多い。

▼「特別性」(用語集に記載)
 魔術や特異など、常識に反する概念の総称。

▼特異(用語集に記載)
 この世界(アズ・リアル)を構成している法則群に属さない法則。
"この世界にある筈のない法則"であるため、程度の差こそあれど、世界を破壊する作用を持つ。
 特異が世界に導入されたのは、世界の内側にあるべき法則群を定義する「概念境界」が欠損したからであり、「目の前の現実を受け入れず、望みを持ち続けること」、即ち「法則に縛られないこと」を渇望することで、意図したか否かに関わらず流入してくる。

▼特異能力(用語集に記載)
 特異が、異能として発現したもの。
 PCの有する其れは特に強力であり、並大抵の特異能力者では実現できない「"死"という、現実上における絶対不変なルールの超越」、即ち《死殺》を行うことが出来る。

▼魔術学会(用語集に記載)
 魔術師の統括組織。魔術と一般社会との間に一線を置くことを方針としている。

▼神殿(用語集に記載)
 魔術結社の一つ。魔術を用いて、積極的に社会に干渉するため、魔術学会と対立している。

▼斑鳩機関(用語集に記載)
 神領家の血が持つ異能を用いて、日本の秩序を守護することを目的とした機関。
 

  • 最終更新:2014-09-23 02:18:56

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