進行リスト2

■オープニング・フェーズ
▼パート1:発端
自動登場:PC③ 登場可否:不可
解説:
 PC③が特異能力に覚醒し、東岸定理と会話するパート。回想シーンである。
描写:
 数年前か、数ヶ月前。あなたが高校生になる前か、もしくは高校生であったが転校する前(キャラ設定による)。
 "謎の能力"に覚醒したあなたの前に、虚空から背の低い少女が現れる。(キャラの覚醒のきっかけによりシチュエーションは変わる)
定理「調子はどう、PC③」
定理「と言っても、何がなんだか分からない、といった感じかしら」
定理「そうね……簡単に説明するならば、あなたは、この世界に存在する法則を超越する力――《特異能力》を得たの」
定理「あなたはもはや、その気になれば死すらも拒否できるようになったわ。自覚があるかは分からないけれど、きっと、そうまでして叶えたい希望が、あなたの何処かには存在しているのね」
定理「けれど、今から私が話す条件の下以外で、その力を使っていけないわ。これは、法則を超えて望みを叶える代償に、他の何かを破壊する力でもあるから」
定理「PC③、その力を持つあなたに、私の"協力者"になって欲しい。協力者としての行動の一環ならば、力を使って構わない」
定理「私は、あなたのような力を得た存在を管理し、力を乱用するようであれば、その者を止める立場にあるの。でも、私だけじゃその全てを把握することは出来ないから、こうして協力者を集めているの」
定理「急にこんな事を言われて困るかも知れないから、考える時間はあってもいいわ。でも、"もうあなたは当たり前の日常"へは戻れない、それだけは知っておいてほしいの」
 そう言って、あなたの脳内に、自身が住んでいる場所を伝える。
定理「覚悟が決まったら、来て欲しい」
 定理の屋敷に向かうと、
定理「まずは、半ば強引で申し訳ないけれど、承諾してくれてありがとうと言うべきかしら」
定理「早速あなたに任されて欲しいことがあるの」
定理「あなたには、聖谷高校周辺で発生した、特異に関する事件に対処しつつ、少なくとも私の把握している中で、力に覚醒する兆候のある、この二人を監視して欲しい」
 空中に、魔術のようなもので、PC①と勇の顔写真をスクリーン状に投影する。
定理「PC①と、弘瀬勇。あなたと同年代ね。二人とも聖谷高校に進学する(在籍している)ようだから、部活なんかを立てて入ってもらえば監視もしやすいのではないかしら」
定理「言うまでも無いかもしれないけれど……特異に覚醒するような人間は、大抵の場合、内に"異常なもの"を抱えているわ。だから、自ずと"異常なこと"に関わりやすいものよ。注意して」
 会話を終えるとパート終了。

▼パート2:Systemica
自動登場:PC④ 登場可否:不可
解説:
 PC④とシステミカが、結社解体の為に、謎の教会のような作りの施設に襲撃するパート。こちらも回想である。
描写:
 数ヶ月前。あなたと、長い銀髪の少女、システミカ・ノットオールは、魔術学会聖谷支部の指令により、解体対象となった結社の施設である、町外れの空き地の教会のような造りの建物の前に来ていた。
 中からは、異様な叫びや呻き、さらに、何かが破壊されるような轟音が度々聞こえてくるが、記憶修正の影響により、それを聞きつけた一般人の野次馬等がやってくることは無い。
システミカ「ここが、指示にあったポイント。既に何人かの戦力は送り込んであるらしいけれど……あまり尋常な状況には思えないけれど」
システミカ「細心の注意をして、中に入ろう。それとも、私だけが先に向かってもいいけれど」
 建物の中は、血生臭い異臭がしていた。あなた達の知る、聖谷支部で顔を見かけた魔術師の他にも、結社の人間と思われる見たことのない魔術師の死体が転がっており、まだ生きている人間は、魔術で針などを生成して串刺しにしたり、無差別に焼き殺したり等であった。
システミカ「……なるほど」
 ふと、建物を全体的に見渡した彼女は、あなたにそう言うや否や、チラっとあなたの方を見たのち、あなたに位置転移魔術を使用し、建物からちょっと離れた位置に転移させられる。
 もしPC④が抵抗を行う意思を見せた場合、【思考】で40を出せば抵抗可能だが、その後、システミカは防御でいっぱいでアテにならない状態で、発狂した魔術師に囲まれ、さらに視界外から精神攻撃を受けるため、推奨しない。
 抵抗をしない場合、【感知】で20を出すと、混乱した状況の最中、建物の奥の部屋に、おかしくなっている魔術師達以外の人間が何人か居ることを直感する。
 その後、現在に戻り、パート終了。 

▼パート3:兆候
自動登場:PC① 登場可否:不可
解説:
 PC①が、学校で勇と会話するパート。
描写:
 夕方。聖谷高校の、PC①が居るクラスにおけるホームルーム。茶髪の、可愛らしい感じのちょっとトロそうな先生が教壇に立っている。
担任「えー、学校祭準備期間に入りました。皆さんのクラスはもう企画の内容は演劇で決まってるんでしたね。決定が早くて優秀優秀」(拍手しながら)
担任「とはいえ皆さん各部活のほうの企画もあるでしょうし、うちの学校は自己責任の範囲内で、企画の提出はわりとギリギリまで引き伸ばせるとはいえ、両方ともスムーズに進めたほうが良いですよぉ」
担任「先生からは以上です! 何か相談があればまたお願いしますぅ」
 ホームルームが終わった後、一部のやる気のある生徒が早速、黒板を使って何やら内容を話し始める最中、勇はPC①の元へ駆け寄ってくる。
勇「おつかれ~、PC①」
勇「いやぁ、ウチのクラスは演劇かぁ。脚本の手伝いはしてないからどんな内容になるかわかんないけど、例え木や草の役でも迫真の演技を見せちゃうよ」
勇「っていうかそれは良いんだけど、○○部(PC達や勇の所属する部活)の企画も早いとこ決定しないとね。勿論、どんな内容でも頑張って力になるつもりだけど、早く決めればその分、準備に時間も掛けられるからね」
勇「それじゃあ行こうか、部活」
 そう言って廊下に出ると、ふと、彼女はぼーっと教室を眺めていた(但し、PC①が特別性を持っている場合、記憶修正を受けないため、勇が述べる事には既に気づいている)
勇「……ねえ、PC①」
勇「変なこと言うかも知れないけどさ、私達のクラスってもう何人か多くなかったっけ?」
 特別性を有さないPC①は特に違和感を覚えないが、他のPCは、三人ほど生徒が減っていることに既に気づいている。これは他のクラスも同様。
勇「いや、ごめん、はは、何言ってるんだろ私。オカルトじゃあるまいし。いこ?」
 そのまま部室に向かうとパート終了。

▼パート4:同僚
自動登場:PC② 登場可否:不可
解説:
 放課後、市立聖谷高校の教員であるPC②が、職員室から部室に向かおうとしたところで、黒野涅槃と会話するパート。
描写:
 放課後。職員室に居るか、もしくは少し前にクラスから戻ってきたPC②。
 あなたの隣のデスクを使っている黒野は、クラス担任も部活顧問も引き受けておらず、いつもこの時間は、体調の優れない様子ながらも、講義の準備をしたり、或いは小テストの作成等のデスクワークをしている。
 しかし今日は、特に何かするでもなく肘を突いて空を眺めていたが、あなたを見るや否や、声を掛ける。
黒野「PC②か。キミのところは学校祭の準備のほうは進んでいるか? 私は担任でも顧問でもないからその辺はよく分からんが」
 会話している最中、咳をして吐血し、デスクを汚す黒野。
黒野「ああ、すまない、不快なものを見せてしまったな。心配しないでくれ、"私のこれは、他人に移ることは無い"からな」
(その事について問い詰めると)
黒野「いや単に、昔から私は身体が弱かったのだが、周囲は別にそういう事でもなかったから、経験的にそうだというだけだが」
黒野「ああ、ところで、急にこんなことを言われても困るかも知れないが、私は今、教師をやめようかと考えていてな」
黒野「この仕事、嫌いではないのだがどうにも向いてないと感じてな。若い連中は、こんな死にかけみたいな人間を見て良い気はしないだろう」
黒野「なんとなくだが、キミには思っていることを伝えておきたいと思ってな。まあ、ただの気まぐれだから、言っておいて何だが、あまり気にはしないでくれ」
 会話を終え、部室に向かうとパート終了。

▼パート5:形無き純粋なる破滅
自動登場:なし 登場可否:不可
解説:
 結社跡地の教会のような施設で、システミカが謎の男(正体は黒野)と会話するパート。
 黒野は、《超越法則》を用いて一時的に《対象》を呼び出し、制御する。それをシステミカに遣わせ、勇を覚醒させると共に、彼女を連れ去ることを目論む。
 特異存在である《対象》が3体登場し、さらにシステミカが視点分離をしているので、崩壊率を[オープン4の合計値]上昇させる。
描写:
 パート4の少し後。どこか教会にも似た場所だが、長椅子はことごとく破壊され、至る所に固まった血糊のようなものがついて赤黒くなっている。
 中央の通路には、銀髪の少女、システミカが一人、誰か、柱の影に立つ者と会話していたが、彼女の眼線は宙(これがアニメのようなものだとしたら、いわゆるカメラ目線)を見ていた。
システミカ「もう、決めたの? 別に、あなたの心境も、私への期待も、どうでもいいけれど、早く命令して」
 彼女の話し相手が何かを言う。
システミカ「……分かった。任せて」
 そう言うと、パート内に登場している誰かが《超越法則》を使用する。その望みは「破滅の召喚」。崩壊率[オープン2]+15上昇。
 すると、最初は黒い影のようなものがシステミカを纏っていただけだが、やがてそれらは形を成して、3体の黒い狼のようなものに変わっていく(ここで崩壊率を上昇させる)。
システミカ「この子達を貸してくれるのはいいけど、あなたが今すぐ私を殺すつもりがないのが残念でならないよ」

■ミドル・フェーズ

▼パート6:襲来
自動登場:全員 登場可否:可
解説:
 PC達が、部活における学校祭の出し物を決定していると、《対象》とシステミカが襲撃してくるパート。
 《対象》とシステミカが登場するたびに崩壊率が上昇する。
 ここでは戦闘が行われる。
描写:
 放課後、部室に集合したPC達と、勇。
勇「さあて、早く企画決めて準備に取り掛かりたいし、決めちゃおう」
勇「何か意見ある人挙手……!」
勇「一応私からも案を出しておくね。その……喫茶店とか。ほら、女の子が可愛い服着てると嬉しいって男子が言ってたから、ウケるかなって」
勇「いや、ゴメンね。ぜんぜん活動と無関係な、ウケ狙いの企画を出してもあんま良くないよね」
 そんな会話としていると、突然、壁をすり抜け、黒い狼のようなものがPC①に飛び掛るが、PC①には何も見えていない。崩壊率[オープン1]上昇。
勇「PC①! 避けて!」
・PC①は、【感知】か【意志】で判定し、15を出すと即座に覚醒し、それが見えるようになる。
・覚醒したPC①もしくは他のPC①は、任意の技能と演出次第で、それに攻撃を当てるなりPC①が回避・防御するなり出来る。目標値は20程度。
・誰も成功せず、PC①を救えない場合、PC①は死亡するが、死亡した瞬間に覚醒する。死亡しない場合でも覚醒し、退けられてその場に着地する、または逃げていくそれが目視できるようになる。
 PC①は、急に妙な感覚を得た。妙に地に足のつかない、ふわふわした感覚。身体が自分のものでなくなったような感覚。今なら、死んでも死なないことすら出来てしまいそうだと感じる。
 少し感覚を働かせると、直感的に、校庭のほうから異様な気配がしていることが分かる。さっきまで運動部が使っていた筈なのに、嫌に、そちらの方からは何の音もしなかった。
 勇は、部室に立ち尽くしたままだった。
 
 校庭に降りると、そこには銀髪の少女――システミカが、周囲に先の狼状のものを纏わせて立っていた。崩壊率[オープン3]上昇(残りの二体の分とシステミカ)。
システミカ「こんにちは。PC④……久しぶり。もしかして、あなたも《特異》を……?」
 話つつも、彼女はPC④達のほうではなく、なぜかずっと宙を見つめている。
システミカ「ねえ。"弘瀬勇"、彼女がどこに居るか知ってる? 彼女が欲しいの」
システミカ「いえ、まずはあなた達を倒すのが先。そう、倒して、回収するの」
 
 戦闘を行う。PCは基本的には全員、戦闘用スクウェアの4-Fが初期位置となる。敵対キャラクターとして、システミカ、対象甲種がC-4、対象甲種×2がC-3に居る。
 また、1-Gから7-GにHP80の学校があるものとする。複数スクウェアだが一個体として扱う。HPが無くなると、学校が破壊され、中に残っている者はほぼ死亡する。
 システミカの表出モードはカップである。また、最初の行動で、学校に対して攻撃を行い、《殲滅法則》を乗せる。
システミカ「少々計算外。強い……仕方ないか」
 PC①に対して《断命の理》を使い(特殊処理により、ターン進行外でも使用される)、PC①に手を伸ばし、そこからPC①に向かって"線"が走る。
勇「やめろおおおおお!」
 突然、叫びながら校舎の窓から飛び降りた勇が、PC①の前に立ちふさがり、線に向かって拳をぶつける。
 勇が《法則解消》を使用し、それを打ち消す。
システミカ「クッ、流石に分が悪い。命令の一つは達成したとはいえ、一人で出来ないようじゃ、"自分に従え"と言ってくれた"黒野"に怒られちゃうかも」
 《シーンアウト》を宣言し、システミカは逃亡する。

■崩壊表適用
 崩壊表の適用を行った後、崩壊率を80回復する。例えば、人間が消滅した場合には、クラスメイトが一人ほど消え去った事にしても良いし、街が消滅した場合には、地図などで描写を行うとよい。

▼パート7:覚醒
自動登場:全員 登場可否:可
解説:
 覚醒・崩壊後の描写を行うパート。
描写:
勇「うそ……ホントに、出来た……!」
 驚いている勇。
勇「PC①が変な生き物に襲われたときからずっと、混乱してたんだ。でも、ここで戦ってるPC①達を見て、いてもたっても居られなくなってさ。何か、自分に出来ることがある気がして」
勇「そうしたら、本当に、あの女の子の魔法みたいなの、止められたんだよ。どうやったか自分でも分からないけれど」
勇「ねえ、もしかして、皆は、この妙な力を、既に使いこなしてるの?」
勇「あのさ、もしキミ達が、ああいう危険な連中を止める為に戦うっていうなら、私も手伝わせてよ。皆みたいに戦闘できるわけじゃないけど、きっと何かは、出来ると思う。皆を助けさせて」
 そうしていると、PC③の頭の中に念話で声が掛けられる。
定理「PC③、先ほど、甚大な崩壊が観測されたのだけれど……」
定理「一応確認だけれど、原因はそちらで発生した問題なのかしら」
定理「そう……それならば、PC①と弘瀬勇も、"こちら側の存在"に?」
定理「分かったわ。それじゃあ、彼らに上手く協力を仰ぎつつ、問題の対処をお願いするわ。まあ、放置できる事象でもないから、あえてお願いするまでも無いでしょうけど」

▼パート8:自由行動①
自動登場:なし 登場可否:可
解説:
 情報収集等を行うパート。特に演出の想定はないが、時間的には、パート6の後から、夜までを想定している。
 全員が1回行動を行うと、情報開示状況に関わらず終了する。
 このパート中、一回だけ、もし勇を同行させるならば、情報収集を手伝ってくれる。(判定後に宣言することで、判定値を+3させる)

■弘瀬勇
使用技能:【交渉】(ボーナス+1)、【知識】
判定値11:市立聖谷高校に通う少女。PC①という友人が居る。明るく親切な子であり、何かと人の世話を焼きたがる。
判定値13:過去に、暴走する車両に轢かれそうになった、身体の弱そうな男性、黒野を咄嗟に突き飛ばして救ったことがあり、彼女自身も間一髪で助かっている。
判定値15:父を自殺で亡くしており、兄は事故死している。また、過去に、母親が飛び降り自殺をしそうになったが、勇が必死に説得して止めさせた事件があった。
⇒「弘瀬勇の特性」について調査可能になる。

■黒野涅槃
使用技能:【交渉】(ボーナス+1)、【知識】
判定値11:聖谷市立高校。数学教師。陰鬱な雰囲気だが、「教師は、若者に、生への希望を与え得る立場である」と主張し、仕事自体にはそれなりにやりがいを感じているようだ。
判定値14:実のところ、教師に採用される前から現在に至るまで、就業できるような健康状態であったことは無いが、それにも関わらず、どうやってか教師に採用され、就業を続けている。
判定値17(パート5で《視点分離》しているとボーナス+1):かなり前から、時たま、郊外の教会跡地のような場所に出入りし、白衣の人間の集団と会っているらしい。
⇒「黒野涅槃の特性」について調査可能になる。

■生徒の消失について
使用技能:【交渉】、【知識】(ボーナス+1)、【思考】(ボーナス+1)
判定値11:聖谷市立高校の生徒の一部が、忽然と姿を消した出来事。一般生徒や教師は、"まるでそんな人物は最初から存在しなかった"ようなそぶりを見せており、名簿からも消えている。
判定値13:どうやら、同様の出来事は街中で起きているようだが、学校内と同様、一般人は自身に身近な存在が消滅しても、全くそれに気づいていない。
判定値16(パート5で《視点分離》しているとボーナス+1):(特異を知る者によると)彼らを襲ったのは、黒い狼のように観測される存在で、《対象》と呼ばれる特異存在であると考えられるようだ。
⇒「《対象》」について調査可能になる。

■システミカについて
使用技能:【交渉】、【知識】。パート5で《視点分離》していると全てボーナス+1。
判定値13:各地を放浪していた魔術師。何ヶ月か前からは、聖谷市の郊外の教会跡地のような場所に居ることが多く、そこに滞在しているのではないかと思われる。また、"ある任務"以降の数ヶ月前から、度々そこで、白衣の人間の集団と会っているらしい。
判定値15:いわゆるサヴァン症候群で、天才的な演算能力を持つ数理術師にして、その術理を用いた境界魔術も使用できる。しかしその分、昔から理性の働きが強すぎて、自己意思の薄い、コンピュータのような少女であったようだ。
判定値16:PC④と共に結社解体に向かった時以前は、少なくともそんな様子や力は一切見せなかったが、現在は特異能力者であり、常に、自身が物理的に見ている位置とは別方向が見えているようなそぶりを見せていたことから、視点分離を使うことが出来ると考えられる。また、彼女と戦って辛うじて生き残った魔術師が、「アイツは殺しても死なない」等と言っている。
⇒「白衣の集団」について調査可能になる。

■"ある任務"について
使用技能:【交渉】、【知識】
判定値13:聖谷市郊外の建物を拠点とする危険性の高い魔術結社を、魔術学会側の魔術師が武力によって解体しようとした旨の任務。こういった、学会とその他の結社の争い自体は、よくある魔術抗争であるが、結果は、結社のメンバーと派遣された学会魔術師勢力の相打ちであった。

判定値15:聖谷市だけでなく、その近郊から人攫いなどの悪行を行っていた。被害者がどうなったかは不明。
判定値16:度々、その魔術結社と、正体不明の「白衣の集団」が接触していたことがあるようだ。
⇒「白衣の集団」について調査可能になる。

■弘瀬勇の特性
使用技能:【交渉】、【思考】(ボーナス+1)、【知識】(ボーナス+1)。
判定値16:生まれた時から、彼女と一定以上の深い関係を持つ存在は全て、程度の差こそあれ、様々な災厄に見舞われているようだ。その為か、今までの学校生活の様子を思い出してみると、PC①を除いて、誰とも仲良くしつつも、可能な限り、自己意思を持たないことで、一定以上他人と友好を深められないようにしているように思われた。

■黒野涅槃の特性
使用技能:【交渉】、【知識】
判定値16:彼は生まれつき身体が弱く、多様な死に至る疾患を身体じゅうに抱えている。それらの多くは正体不明の病であり、医者にも匙を投げられたため、あらゆる生存方法を模索していたようだ。昔、その過程で、魔術を手にしたこともあるらしく、それを悪用して教師になった。
時々、弘瀬勇について「あんな人間なら、私を真に救えるかもしれないな」等と呟いていたことから、彼女に強い執着心を抱いていると考えられる。

■《対象》について(重要度低)
使用技能:【交渉】、【知識】、パート5で《視点分離》をしていると全てボーナス+1。
判定値14:世界の崩壊という現象が顕現した特異存在であり、概念レベルでモノを消失させる。精神も何も存在しないため、普通はただひたすら消し去るのみである。
判定値15:黒野やシステミカは、以前から度々、これを纏わせて、街の住人や学生を消滅させたことがあり、通常の法則下では制御する方法など存在しない《対象》を制御しているらしい。

■白衣の集団
使用技能:【交渉】、【知識】
判定値16:聖谷市郊外を拠点とする魔術結社に取り入り、彼らに「人攫い」をさせていた。
判定値18:正式名称は"第六六(ろくろく)機関"。研究機関《ホスピタル》の一部署で、かなりの過激派。上層部から特異という概念を知らされており、被験者の精神への介入によって、強制的に特異能力を覚醒させる実験をしている。
覚醒のための精神介入を行われたものは皆発狂してしまったが、元々壊れているとも言えるシステミカに対しては成功したものの、常に視点を分離させていないと活動できないという、不完全な状態のままになっている。
また、黒野に協力を申し出て、システミカを貸し出し、さらに「死なないことが出来る可能性を持つ力」である特異の存在を教える代わりに、特異をより深く研究するためのサンプルとして、特異能力者を回収するという契約をしていた。

▼パート9:暴勇
自動登場:なし 登場可否:不可
解説:
 勇が一人、街に出歩いて黒野を探すパート。
 視点分離の使用想定パートである。
描写:
 夜、街に飛び出した勇。
勇「学校の皆にあんな事して……また襲ってくる前に、何とかしなきゃ」
 そんな事を言いながら、聖谷市内の、聖谷駅前辺りに通りかかる彼女。
 そこには、黒野が居た。
勇「あっ、黒野先生。こんな時間にどうしたんですか?」
黒野「やれやれ。アテも無く、無意味に走り回るなど。あまりにも"暴勇"だが、故にキミは、そんな常識や法則を打ち破る力を……」
勇「先生……何で、そんな事を……」
黒野「弘瀬。私を救ってくれないか」

▼パート10-A:奪還
自動登場:視点分離を行ったPC 登場可否:可
解説:
 パート9で視点分離を行っている場合に突入できるパート。
描写:
 駅に着くと、そこでは、黒野が勇の首を絞め、持ち上げていた。
黒野「あまりこんな事はしたくないんだが……命には代え難いな」
 PC達が追いつくと、通過列車が走ってくる。
彼は「私は長距離を転移できるような魔術は使えんのだが……仕方あるまい」と言って、その上に勇をひっつかまえたまま転移して飛び乗る。
・任意の技能と演出次第で、判定値20以上を出すと飛び乗れる。連携も可能。
 列車の上で、黒野は送電線に触れていたが、電位を魔術で操作し、自身の周囲に電流が流れないようにしている。
・任意の技能と演出次第で、判定値22以上を出すと、黒野が捕まえている勇を取り戻せる。連携も可能。
 黒野を攻撃しようとすると、崩壊率が10上昇し、システミカが視点分離を用いて場所を特定し、転移魔術を実行する。
システミカ「迎えに来ました」
黒野「遅いぞ。アレを持っていかれてしまったではないか。まあいい」
システミカ「すみません」
 システミカがシーンアウトを用いて、黒野を連れて行く。

パート10-B-1:絶望
自動登場:なし 登場可否:不可
解説:
 パート9で視点分離を行っていない場合に突入するパート。
 システミカがいるので、崩壊率が[オープン1]上昇する。
描写:
 教会跡地。
 システミカと黒野と、椅子に拘束された勇。
システミカ「黒野。"彼ら"には連絡しないの? そういう約束になっていたと思うけれど」
黒野「知らんな。まあ、どうしても"これ"が役に立たなかったら、連絡位はしておこう」
勇「無理……無理だよ……どうやって先生を救えばいいかなんて、全く分かんないもん」
黒野「そうか……ところで、特異というものは、事実に対する絶望の度合いが高くなるほど、それを塗り替えるために法則を侵食するらしいな」
 そう言って、システミカが軽く指で宙に線を引くと、その通りに勇の腕が切断される。

▼パート10-B-2:捜索
自動登場:全員 登場可否:可
解説:
 勇を捜索するパート。
描写:
 翌日。学校に勇が来ないことに気づくPC達。
 誰かが自力で思い当たるか、10-B-1を視点分離で見ているなら、場所が分かる。
 そうでない場合、PCの誰かが、判定値20以上の判定に成功することで、居場所を特定できる。
使用できる技能は、思考によって類推する【思考】や、優れた感覚でもって気配に気付く【感知】や、【運動】【意志】等から、キャラクターに適切なものを選択する。
 教会には、黒野やシステミカはおらず、四肢を切断され、目を虚ろにした勇が放置されているだけだった。
 勇が自身を救えないと悟った黒野は、彼女に興味を失い、PC①を求め始める。

▼パート11:自由行動②
自動登場:なし 登場可否:可
解説:
 情報収集等を行うパート。
 全員が2回行動できる。
 勇は「ごめん、ちょっと暫く一人にさせて……」と、話を聞いてくれない。

▼パート12:正義
自動登場:PC① 登場可否:可
解説:
 勇の特性についての情報を抜くと突入する。
 PC①らが、勇と会話するパート。10-Bルートを通っていても、一応は生きているので会話できるが、場所は変わるであろう。
描写:
 場所は、特に指定が無ければ、学校。全員を呼び出す。或いは、どこに居るか聞く。
勇「みんな今、大丈夫?」
勇「謝りたくて」
勇「迷惑かけて、ごめん」
 そう言って彼女は、《存在統制》を用いて、生徒が居る間をブラブラする。
勇「私、昔から妙にツイてない体質でさ。正確には、私の周りが、だけど。私が助けたいと思う人は皆、不幸になっていった」
勇「それで、思ったんだけどさ。私、人のことを嫌いになることが出来ないんだ。皆が救われれば良いって思ってる。だからこそ、私の知る限りの、あらゆる不幸の原因はそんな私にあるんじゃないかって」
勇「無茶苦茶な事言ってるって思うかもしれないけど、既に私達、無茶苦茶な存在でしょ。私やあなたの持ってる力だって、言ってみれば、"選ばれたものを救う為に、他の何かを犠牲にする力"だし。もう何もかも、おかしいんだよ」
勇「PC①、キミとはうっかり友達になっちゃったけどさ、このままだと、キミも私のせいでいつの間にか大変なことになっちゃうかもね?」

・PC①は、目的「勇を守る」を得る。(キャラの主張によって変えてもいい)。

▼パート13:排除
自動登場:なし 登場可否:不可
解説:
 《対象》以外の全ての情報を抜くと突入する。
 黒野とシステミカが、第六六機関と会話するパート。システミカが出ているので崩壊率[オープン1]上昇。
 視点分離の使用想定シーン。ここで使用しない場合、この後に追加パートが発生して、【運動】や【感知】、【思考】など任意の判定で30を出して発見することになるが、追加パートを発生させた時点で、ペナルティとして崩壊率が40上昇する。
描写:
 街外れの山道にある、隠蔽された施設に入っていく黒野とシステミカ。
 中は研究所のような造りになっており、白衣の男が数人、端末に向かっていたり、寝台の上に死んだように寝ている少年少女達の頭に何かの機器を着けている。
白衣の男「ん? 何しにきた? サンプルは? 確保しろと言った筈だが」
黒野「ああ、何か勘違いしているようだな。私は元よりキミ達に使われる気など無い。アレはキミ達の玩具にはさせん」
白衣の男「貴様……その力を得るきっかけを作り、その女まで貸してやった私達に反抗するとでも? 貴様の精神に介入することなど容易なのだが……残念だ」
 そう言って白衣の男が、手元にあったスイッチのようなものを押す。
白衣の男「……は? なぜ機能しない!?」

■クライマックス・フェーズ
▼パート14:超越者の理
自動登場:全員 登場可否:-
解説:
 黒野、システミカとの決戦を行うパート。
 パート開始時に崩壊率を[オープン4]だけ上昇させる。
描写:

 街外れの山道にある、隠蔽された施設に入っていくと、床に倒れ込む白衣の男。
黒野「コイツが食えるのは、人だけじゃないみたいだ」
白衣の男「おい女! 止めさせ――」
 システミカのほうを見て男が何か言い終わる前に、黒野が纏った影が狼のようになり、白衣の男達を消し去った。
黒野「さて、来てしまったか」
黒野「私は、ただひたすら、死ぬことを拒絶したがっていた。私は学生に希望を持たせるのが好きだったというより、自分が死ぬこと等微塵も考えてないであろう彼らに、希望を貰いたかったのかもしれない。だから教師に向いていないんだよ、PC②」
黒野「そう、全てを救済することを願う弘瀬勇はまさしくそんな存在であり、実際に彼女は、我々の側に来てくれた。とはいえ"学校を襲撃する"という、直接のきっかけを作ったのも我々なのだが」
黒野「生きたいと思う事がそんなに悪いことなのか? 誰しもそこの女のように、死ぬことを望むわけではあるまい。もっとも"お前は、私が倒れるまで死ぬことを許さん"が」
システミカ「いつだって私は、"自己"というソフトウェアに操作される機械のようなものだから。命令されればその通りに動くけど、こんな生に対した意味はない」
システミカ「あなたはどう、PC④? 人間をやめて、そんな力を得て、それで生きる意味は見つけられた? それとも、元々あなたには大切な何かがあった?」
システミカ「あなたなら、私を壊してくれる? 命令を達成するか無効になるまで、決して死ねないこの私を」
黒野「PC③、キミは随分とこの力を熟知しているように見受けられるが、何か、もしや、あの部活を申請したキミが、他の部員や顧問と共にここに居るということは、つまりはそういう意図で設立したのか。随分と酷な事をするものだ。半端な気持ちでこの力を使えば、際限の無い地獄が待っているだけなのに」
黒野「PC①、キミが羨ましいよ。見ていると、アレはキミにしか心を開かんようだからな。キミは特別だと、そういう事か。となるとアレを借りるにはキミの許可が要るな」
黒野「望んでも望んでもその先を得られない、希望の生き地獄へようこそ」
 戦闘を行う。PCは基本的には全員、戦闘用スクウェアの4-Bが初期位置となる。敵対キャラクターとして、黒野を4ーF、対象甲種×3を4-E、システミカを3-Fに配置する。
 黒野の表出モードはワンド、システミカのモードはカップである。
(《死殺》を用いると)黒野「キミ達は、死をも超越しているのか!?」
(敗北すると)黒野「死ねるか……死ねるものか……全てを、死すら食らい尽くせ!!」
 《超越法則》を使用。その望みは、この街全体を覆うほどの量の《対象》を呼び寄せること。
黒野「結局、私は死が怖くて仕方が無かったからこそ、それを超えられなかったのだろうな……」

【感知】で10を出すと、ちょっとしたことに気づける。
 研究所の奥のほうのロッカーに、生きた人間の気配がする。
研究員「た、助かった……?」
研究員「み、見逃してくれ! 頼む! 死にたくない! そ、そうだ、そこにあるサンプルは幾らでも持っていって良いぞ!」
 そう言って、研究所内の至るところに寝ている、精神死した少年や少女を指差す。
 PCが事後処理を決めると終了。

■崩壊表適用
 崩壊率を参照して、崩壊表を適用を行う。適用の結果に応じて、エンディングの演出を適宜変更するとよい。
 例えば、人間が消滅した場合には、クラスメイトが一人ほど消え去った事にしても良いし、街が消滅した場合には、地図などで描写を行うとよい。

■エンディング・フェーズ:個別エンディングは、展開により変わるため、一応想定を書いておくが、基本的にはPCの希望を聞く。合同エンディングは一ヵ月後の話。
▼パート15:システムの理
自動登場:PC④ 登場可否:可
解説:
 事件終息の翌日、PC④が、生きているならばシステミカと会話するパート。
描写:
 宮殿のような造りになっている魔術学会聖谷支部の、一室。
システミカ「なんで、殺さないの?」
システミカ「私には、何もするべきことがない。全て他人の思うままに生きてきた。あなたは何か、私に生きる意味を与えてくれるの?」
システミカ「ところで、あなたは普段、どういう生活をしているの? 何となく気になっただけだけれど」
 会話を終えるとパートが終了する。

▼パート16:報告
自動登場:PC③ 登場可否:可
解説:
 PC③が、東岸定理に事件の顛末の報告を行うパート。
描写:
 場所は、和風の屋敷の一室。東岸定理が畳に正座している。
定理「お疲れ様、PC③。事件の顛末は?」
 崩壊の結果の演出をしつつ、
定理「そう……ひとまず解決し、崩壊は止まったという事ね」
定理「それにしても、《ホスピタル》の連中が関わっているとは。あまり良い話は聞かないから、そういう事もあるかもしれないとは思っていたけれど」
定理「連中は精神制御に関する研究を主に行っているけれど、彼ら、正確には彼らのトップは、《特異》の存在を知っているから」
定理(何か少し遠い目をして)「それにしても、《対象》を操るなんて、随分と危険な相手だったわね。あなた達が無事でよかった」
定理「ところで、PC①と勇はどう? 可能であれば、彼らも特異的事件の対処に協力させて欲しい。言うまでも無いと思うけれど、特異は強力な力よ。それに対処するには、出来るだけ、仲間が多いほうがいいものね」
定理「まあ、その仲間も、絶対的なものとは言えないのがこの世の中だけれど。特異能力なんていうものは、根本的には自分の信条の為にしか使われないものだから」
定理「それはそうと、もうすぐ、あなたの学校では学園祭が開催されるのよね? 私も遊びに……いえ、あなた達の部活を偵察しにいくから、そのときはよろしく」
 会話を終えるとパートが終了する。

▼パート17:衰死と救済の理
自動登場:PC①、PC② 登場可否:可
解説:
 PC②が、黒野の葬儀に参加するパート。PC①の個別エンディングにも繋がる。
描写:
 黒野の葬儀に参加しているPC②。
 他に来ているのは家族と、勇。他の生徒は誰も居ない。
 葬儀後、勇が話しかけてくる。
勇「PC②先生……黒野先生、言ってた。"私を救って欲しい……昔みたいに"って」
勇「先生、凄く重い病気みたいだった。でも、あんな力を使えた先生自身がどうにもならなかったのに、私がどうすればいいかなんて全く分からなかったよ」
勇「PC②先生は、黒野先生のこと、嫌い?」
 会話を終えると、勇はPC①の元へ駆け寄ってくる。
勇「ねえ、PC①はさ、こんな風に思ったこと無い? "誰もが救われる世界が出来れば良いのに"って」
勇「世の中は、そんなに上手くできてないじゃんか。有る人を救えば、巡り巡って別の誰かが犠牲になる。私達の力は、そういうものでしょ」
勇「PC①は、これからどう生きる?」
 会話を終えると、パート終了。

▼パート18:学校祭
自動登場:全員 登場可否:可
解説:
 一ヵ月後、合同エンディング。学校祭の出し物を楽しむシーン。PCの選択次第でいろんな人が来る。
描写:
 聖谷市立高校学校祭。校内は、さまざまな展示などが開催され、まあまあ来客もあって程ほどに盛り上がっている。
定理「ここかしら、PC③の部活は?」
定理「叶わぬ願いかもしれないけど、あなた達の持つ、"当たり前の法則"を奪ってしまう力が、こんな"当たり前の日常"すら奪ってしまわないことを祈るばかりだわ」
勇「私、決めたよ。やっぱり私、皆みたいにこの力を使いこなせるようになって、それで、何かを救いたい。それで不幸な人は増えるかもしれないけれど、だったらまた救えば良い。この命が尽きるまで救い続ければきっと、何かは変わるって、そう信じたい」

・シナリオが終了した後、記録シートの「経験点計算表」を、GMや他のプレイヤーが評価しつつ埋めていく。なお、「目的を達成した」の経験点は、いずれも10点である。

  • 最終更新:2015-09-28 14:10:23

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