トレーラー・シナリオハンドアウト2

■トレーラー
 ただ、世界の生ける者全てを救いたいと思った。
 ただ、生きていたいと思った。
 ただ、生きることを求められたいと思った。
 そんな希望を持つことは、悪いことなのだろうか。

 学校祭準備期間。未来へのありふれた期待が募る時期に、其れは襲来する。
 其れは、形無き純粋な破滅にして、形在る生の残滓。

 希望を持つことは、悪いことなのだろうか――例え其の希望が、更なる絶望を生み出すものだとしても。

 プロバビリティ・スカイ RPG 『日常(そら)を穿つ、希望の光』

――其の意志は、世界を超える。

■シナリオハンドアウト
 想定プレイヤー人数は3~4人。

 各PCには、主に以下のような設定や導入が与えられる。なお、基本的には、シナリオ開始段階ではPC①を除いて、既に特異能力者である。
また、PC①~④は、PC②を除いて、(少なくとも、外見的には=実年齢は問わない)高校生であり、また、共通の部活動に所属することになる。
PC①:普通の高校生であり、弘瀬勇と仲が良い。シナリオ中、死亡するかまたは生命の危機に曝されることで、特異能力に覚醒する。
PC②:PC①~④の所属している部活動の顧問。
PC③:東岸定理の協力者である。また、部活動の部長であり、設立の申請や部員の勧誘をしたのもあなたである。
PC④:魔術学会に所属しているか、またはその協力者である。
 
▼PC①
推奨クラス:特になし 関係:弘瀬勇(ひろせ・いさみ) 関係性:友人
 あなたは、某県・聖谷市に住み、市立聖谷高校に通っている学生である。
 弘瀬勇は、あなたの同級生であり、友人であり、あなた達の所属する部活動の部員でもある。
 放課後になり、学校祭に向け、部活動での出し物を決めるために部室へ向かおうとするあなたに、彼女はふと、"クラスの人数が少ない気がする"等と、妙なことを告げた。
 そして、部室で話し合いをする最中、あなたは"目に見えない何か"に攻撃を受けそうになる。しかし、あなたが命の危機を感じた刹那、見えなかった筈の"其れ"はあなたの目に捉えられるようになるのだった。

初期目的(最初に渡される目的。シナリオ中に変化する場合がある):生きる。

▼PC②
推奨クラス:守護者 関係:黒野涅槃(くろの・ねはん) 関係性:同僚
 あなたは、市立聖谷高校の教員であり、PC③が部長を務める部活動の顧問である。
 放課後になり、部活動における学校祭の出し物の決定に立ち会うために、部室に向かおうとしたあなたに、教師仲間である黒野涅槃が唐突に、教師を辞める事を考えている旨を語る。
 その後、部室で立ち会っているあなたは、特異の侵食を感知する。先日、PC①の同級生の何人かが忽然と姿を消したことと何か関係があるのだろうか。
 そう思ったのも束の間、PC①に向かって、黒い狼のような影が壁をすり抜けて飛びかかる。

初期目的:生徒を護る。

▼PC③
推奨クラス:特になし 関係:PC① 関係性:庇護
 あなたは、PC①~PC④の所属する部活動の部長であるが、その実は、東岸定理の協力者である。
 数年前か、あるいは数ヶ月前、特異能力に覚醒した時、彼女はあなたにその力の何たるかを説明した上で、自身の協力者になる事を要求し、あなたはそれに応じた。
 あなたの目的は、聖谷高校やその付近の特異能力者、もしくはその素養があると思われる者の動向を監視することである。そして、必要に応じ、暴走行為をしないように導いたり、危険性が高ければ、それを排除することである。部活動の設立もその一環となる。
 そんなあなたは、その日、学校祭に向けて部活動での出し物を決めるために部室で話し合いをしていた。その最中、PC①に向かって、黒い狼のような影が壁をすり抜けて飛びかかる。

初期目的:部員を導き、また、危険性の高い特異性に対処する。

▼PC④
推奨クラス:境界術師 関係:システミカ・ノットオール 関係:敵対
 あなたは、魔術師の統制機関としての役割を持つ、魔術学会の聖谷支部に所属している魔術師である。
 既に特異能力者であったあなたは、その特異性を見抜かれてPC③から勧誘を受け、彼/彼女の設立した部活に所属することとなった。
 そんなあなたは、その日、学校祭に向けて部活動での出し物を決めるために部室で話し合いをしていた。その最中、PC①に向かって、黒い狼のような影が壁をすり抜けて飛びかかる。
 その後、強力な特異性の源となっている校庭に向かったあなたが見たものは、魔術学会のかつての同僚であり、数ヶ月前に、"ある任務"をきっかけに行方をくらませた銀髪の少女、システミカが、PC①を襲った影を操る姿であった。

初期目的:システミカの身に起こった事を知り、彼女を止める。

■特記事項
・キャラクターは、初期作成のものを用いる。
・《法則解消》(《遮断法則》、《超越法則》で代用可)および《超越法則》の使用想定が存在するため、取得していることを推奨する。
・視点分離の使用想定回数は2回である。即ち、ある適切なパート2つで、何れかのPCが視点分離を行わない場合、何らかの比較的重大な不利益が発生する。
・本シナリオでは、クライマックス終了時だけでなく、中間戦闘終了時にも崩壊表の適用が発生する。ただし、その崩壊適用後に、崩壊率が80回復する。

■用語概要
●弘瀬勇(ひろせ・いさみ)
 聖谷市に住む高校生であり、PC①の同級生。桃色サイドテール。見た目は艦○れの春○みたいな感じ。
 明るい性格で、困っている人を見ると放っておけない。友人はそれなりに居るが、PC①とは特に仲が良い。
 よく他の部活の助っ人として呼び出されており、何でもそつなくこなすが、彼女自身は無趣味であるように見える。
 よく「正義の味方って、カッコいいじゃん?」とかアホそうな事を色々言っているが、少なくとも学業成績は非常に良いため、単なるアホではないようだ。
 東岸定理によると、PC①と彼女は、特異能力者としての強力な素養があるらしい。
 過去に、家族のうち、父と兄を亡くしており、少々複雑な家庭であるようだ。

●黒野涅槃(くろの・ねはん)
 PC②の同僚であり、数学教師。陰鬱な雰囲気で、黒髪を少し伸ばしている35歳。
 かなり身体が弱いようで、大体毎日咳をしているが、そういった弱さを隠すほどの威圧感を醸し出しているため、生徒のほぼ全てから「あの先生超怖い」と恐れられている。噂によれば、昔はもっと明るい雰囲気だったようだが……。
 陰気な男ではあるが、教師であることに誇りを感じているようで、今まで教師を辞めようなどといった素振りは全く見せなかったが、急にそんなことを言い出した。

●銀髪の少女/システミカ・ノットオール
 長い銀髪の、15、6歳ほどに見える少女。無口というワケではないがダウナー系。
 かつては魔術学会に属する魔術師であり、魔術名は"零心(ノット・オール)"。情報処理機器に頼らない、"本物の"数理魔術師。素でコンピュータ並みの演算能力を持つ、いわゆる天才。
 その分、性格面では少々問題があり、他人の要求に対してやたらと従順なところがある。例えば、身体を求められれば簡単に許してしまったりする危うい子。
 特定の学会支部に所属しているわけではないが、PC④と共にあった時は、「魔術戦における、聖谷支部の切り札」と称されていた。

●東岸定理(NPCの項に記載)
 今回の舞台となる聖谷市ではなく、櫻岡市郊外に住む、不思議な女の子。市立櫻岡高等学校2年生。
 世界の何たるか、特異の何たるかを知っていたり、未来の一部を知っているかのような態度を取ったりと、とにかく謎が多いが、自身の真意を誰にも話そうとしない。
 何人も協力者を有しており、彼らに特異関連の事件の解決を頼むことが多い。

▼クラス人数の減少について
 数日前に起きた出来事。PC①や勇のクラスのうちの何人かが、概念レベルで消失した。即ち、「そんな人物は初めから居なかった」という事になっている。
 当初、これに気づいたのは、特異能力者であり、記憶修正の影響を受けないPC②~④のみであるが、勇も違和感を覚えたようである。

▼"ある任務"について
 とある魔術結社が、学会所属の魔術師や一般人に危害を加え、被害者を拉致する等の行為をしていたため、PC④およびシステミカ他、数人の魔術師が、結社の解体に向かった任務。
 結社の施設では、先行した魔術師達だけでなく、結社の者と思われる魔術師の全てが発狂したように呻き声を上げ、施設内は死屍累々の悲惨な状況になっていた。咄嗟の判断で、システミカはPC④に対して転移魔術を用いたため、その後どうなったかは不明である。 

▼「特別性」(用語集に記載)
 魔術や特異など、常識に反する概念の総称。

▼特異(用語集に記載)
 この世界(アズ・リアル)を構成している法則群に属さない法則。
"この世界にある筈のない法則"であるため、程度の差こそあれど、世界を破壊する作用を持つ。
 特異が世界に導入されたのは、世界の内側にあるべき法則群を定義する「概念境界」が欠損したからであり、「目の前の現実を受け入れず、望みを持ち続けること」、即ち「法則に縛られないこと」を渇望することで、意図したか否かに関わらず流入してくる。

▼特異能力(用語集に記載)
 特異が、異能として発現したもの。
 PCの有する其れは特に強力であり、並大抵の特異能力者では実現できない「"死"という、現実上における絶対不変なルールの超越」、即ち《死殺》を行うことが出来る。

▼魔術学会(用語集に記載)
 魔術師の統括組織。魔術と一般社会との間に一線を置くことを方針としている。
 とはいえ、飽くまで"魔術師の統括組織"であり、治安維持組織という訳ではないので、発生した事件の事後処理に関しては、魔術師の関与する側面でのみ行うことが基本である。

  • 最終更新:2015-09-29 00:23:06

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード